真夕紀はやおら、その黒い生物を舐めた。舌がちろっと触れた瞬間、電撃のような興奮が彼女を襲い、一時的に理性が蘇った。
「どうして……こんなの舐めたくないのにぃ…………でも、美味しい――」
理性と興奮とが体の中でせめぎ合い、真夕紀は涙目になりながら、それでも右手に掴んだモノを舐め続け、ついには口の中に丸ごと放り込んでしまった。
ザリッ……
潰れた。
口の中に、ぶわっと生暖かいものが広がっていく。不思議と気持ち悪さは感じない。頭の中では、まだ少しばかり拒絶反応が出ているが、それでも彼女の遅い夜食は止まらない。
「こんなものが美味しいはずがないのに――ううっ、でも、美味しいよぅ……」
矛盾したことを言って、新たに捕まえたモノを泣きながら食べ続ける真夕紀だった。 |